石碑巡遊〜手書きの魅力

名文・名筆を求め、各地の史跡・社寺などを巡り紹介していきます。現在、NOTEへ移行中完全移行後、こちらは閉鎖します。

出羽三山信仰を伝える石塔と阿弥陀仏の石塔

 こんにちは。今回は草加市新里町にある徳性寺に参拝してきました。

 

 

 浄土宗のお寺です。川口草加線の交通量の多い道の側に建っていますが、とても静かで境内も整備された心地いいお寺でした。

 

 

 境内にあるお地蔵さんの裏手に出羽三山塔がありました。この塔は文久二年(1862)のもの。『草加の金石』によれば、湯殿山別当寺の一つが草加にあったのでその影響によりこのような塔が多いそうです。大乗院宥无という人物の書。おそらくお坊さんの字でしょう。

 江戸において山形県出羽三山の信仰が広く行き渡っていた証拠のひとつですね。

 

 

 碑の右側面には「天下泰平 日月清明 風雨順時 五穀豊登」と願いが刻まれています。唐代の楷書に範を取ったような平明なもので、江戸時代らしい唐様の書き振りを伺えます。

 

 

 お寺の入り口には「南無阿弥陀仏」の塔が建っています。「弥陀」が異体字という通常使われている文字とは違うものが使われています。小さく「八十四忠善」と刻まれています。普通に考えれば84歳の方の字になります。

 

 

 脇にはそれぞれ「風雨以時災厲不起」「天下和順日月晴明」と書かれています。裏面は確認できませんでしたが、もしかしたら何か書かれているかもしれません。同一の筆者の筆法にみえます。84歳の方が全て書いたと考えるととても気力の充実した素晴らしい字ですね。

 

アクセス

○日暮里舎人ライナー 見沼代親水公園駅より 徒歩17分